絵画などの美術品を購入したら、消費税はどうなるのかを知りたいと思っていませんか?
この記事では、絵画などの美術品を買う場合に、消費税は何パーセント(%)かかるのか、消費税の納税額はどのくらいなのかを解説しています。
また法人や個人事業主がアートを購入する場合のインボイス制度や消費税の扱いについても解説しています。
それでは、絵画などの美術品を購入した時の消費税を見ていきましょう。
ご注意:
この記事は執筆時の日本の法律や制度を基にして、筆者の解釈で書いています。
法律や制度は更新されるため、その内容や解釈、判断が執筆時とは変わる可能性があります。
個別の事例は、適用される法律や制度が変わることがありますので、必ず税理士や弁護士にご相談ください。
☑目次
- 絵画などの美術品を購入時にかかる消費税
- 【法人・個人事業主向け】美術品購入の消費税に関わるインボイス制度とは?
- 【法人・個人事業主向け】絵画などの美術品を購入した時の消費税の納税額
絵画などの美術品を購入時にかかる消費税
美術品の購入には消費税10%がかかります。
一般的に、絵画などの美術品を購入した時には、消費税10%がかかります(2024年現在)。
絵画などの美術品本体のほかに、絵画の購入に関して支払った下記の費用も、消費税がかかる対象となります。
消費税10%がかかる美術品の購入関連費用
- 額縁
- 引取運賃
- 荷役費
- 運送保険料
- 購入手数料
- 据付費 など
【法人・個人事業主向け】美術品購入の消費税に関わるインボイス制度とは?
次に、企業などの法人や個人事業主がアートなどの美術品を購入する場合を見ていきましょう。
法人や個人事業主の消費税の納税額は、「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」に自社や購入先が登録しているかどうかによって変わります。
ただし、インボイス制度への登録は任意です。
インボイス制度に必ず登録しなければならないことはありません。
消費税の納税額に関わるインボイス制度とは?
それでは、消費税の納税額に関わるインボイス制度とはどのような制度なのでしょうか?
国税庁によると、適格請求書(インボイス)について、下記の通りの説明があります。
適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
国税庁「インボイス制度の概要」
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
インボイス制度とは、消費税に関して、これまで使われている「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」が記載された適格請求書(インボイス)によって消費税の仕入税額控除額を算出し、証拠となる書類を保管する制度です。
法人や個人事業主がインボイス制度に登録している場合は、美術品の購入先がインボイス制度に登録しているかによって消費税の納税額が変わります。
【法人・個人事業主向け】絵画などの美術品を購入した時の消費税の納税額
それでは、企業などの法人や個人事業主が美術品を購入する場合の消費税の扱いや納税額について、詳しく見ていきましょう。
ギャラリーや画廊、画家(芸術家)などから絵画などの美術品を購入した場合の消費税の扱いについて解説します。
購入した美術品の消費税の納税額は、消費税に関してどの制度を選んでいるかによって変わります。
(1)インボイス登録していない免税事業者が美術品を購入する場合
一般的に、個人事業主は前々年、法人は前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の場合は、消費税の納税義務が免除されます。
消費税の納税義務が免除されている法人や個人事業主を「免税事業者」といいます。
インボイス制度に登録していない免税事業者は、いずれのギャラリーや画家から購入しても、消費税の納付は免除されます。
(2)簡易課税制度を使っている法人や個人事業主が美術品を購入する場合
簡易課税制度とは、課税取引に関して、受け取った消費税額から業種ごとに一定の割合を差し引き、消費税の納税額を計算する制度です。
簡易課税制度を選んでいる法人や個人事業主は、購入先のインボイス制度の登録の有無に関わらず、消費税の納税額は同じです。
そのため、いずれのギャラリーや画家から購入しても、消費税の納税額は変わりません。
(3)インボイス登録している法人や個人事業主(課税事業者)が美術品を購入する場合
インボイス登録している法人(課税事業者)の場合は、購入先の画家やギャラリーがインボイス制度に登録しているかによって、消費税の納税額が変わります。
●インボイス制度に登録しているギャラリーや画家から購入する場合
インボイス制度に登録しているギャラリーや画家から絵画を購入すると、法人や個人事業主の売上にかかる消費税から絵画の購入時に支払った消費税を仕入税額控除として差し引くことができます。
●インボイス登録していないギャラリーや画家から購入する場合
次に、絵画の購入先のギャラリーがインボイス登録していない免税事業者の場合の消費税の納税額を見てみましょう。
現在、インボイス制度に関する経過措置があります。
そのため、インボイス登録していない免税事業者から美術品を購入しても、2026年までは支払った消費税の80%、29年までは支払った消費税の50%を仕入れの消費税として、売上にかかる消費税から差し引くことができます。
- 購入先のギャラリーや画家が免税事業者の場合
- 2023年10月~2026年9月
免税事業者からの仕入れの消費税のうち、80%を仕入れの消費税として計上(控除)できます。 - 2026年10月~2029年9月
免税事業者からの仕入れの消費税のうち、50%を仕入れの消費税として計上(控除)できます。
このように、絵画などの美術品の購入にかかる消費税をどれだけ納税する必要があるかは、法人や個人事業主がどの消費税制度を選んでいるかによって大きく変わります。
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