和室の絵画の飾り方を知りたいと思っていませんか?
古民家ブームなどで「和風」の良さが見直されるなか、「和」の雰囲気を生かしたインテリアが注目を集めています。
今まで「レトロかも?」と思っていた和のインテリアのなかに、すっきりと洗練されたお部屋づくりのコツがあるのかもしれません。
和室に絵を飾るなら、季節感があり、控えめな飾り方、「余白」を大切にして、少ない数の作品をすっきりと飾ることが大切です。
それでは、おしゃれな和室の絵の飾り方を詳しく見ていきましょう。
☑目次
- 床の間がある伝統的な和室「座敷」とは?
- 和室に飾る絵画の選び方。和室に合う絵を知りたい。
- 和室の絵画の飾り方~床の間がある場合とない場合
床の間がある伝統的な和室「座敷」とは?
和室に絵を飾るなら、床の間がある伝統的な和室「座敷」のインテリアやその使い方を知っておきたいですね。
書や絵画、生花を飾る「床の間」、香炉やツボなどを置く「違い棚」、床に接して設けられた戸棚の「地袋」が正面にある伝統的な和室は、座敷と呼ばれています。
床の間は、畳の床よりも一段高くなった空間で、掛け軸や生花、置物などを飾る場所です。
違い棚は床の間の隣にあり、2枚の棚板を段違いに取り付けた飾り棚です。
地袋とは、床に接して設けられた高さの低い戸棚のことです。
それでは、伝統的な座敷の特徴をご紹介しましょう。
伝統的な座敷の特徴
座敷はシンプルなデザインで、板の天井と畳の床、土壁で、「障子」や「ふすま」と呼ばれる木や紙でできた戸が付いています。
日本では、昔から木や植物、紙、土などの自然の素材を使って家を作ってきました。
これらの自然素材の色を生かして作られる座敷の天井、壁、床は、白、ベージュ、茶色、黒色を基調とした落ち着いた色です。
一般的に、使わない物は押し入れに収納するため、座敷には家具が少ないです。
また伝統的な座敷には、樹木、低木、石、池などでデザインされたきれいな日本庭園があります。
日本庭園では、春は桜、秋は紅葉などと季節ごとの景色を眺めることができます。
座敷の価値は、庭があることによって一層高まります。
床の間をの味わいを深める「床柱」とは?
座敷の床の間には、床柱があります。
床柱とは、床の間にある柱で、床の間を形作るというとても大切な役目があります。
床柱に使われる材木は、皮が付いたサクラや赤松、コブシのほか、柾目のスギ、シワの寄ったスギ(シボ)など珍しい木が好まれます。
どのような木材を使うか、どのようなかたちにデザインするかによって、床の間の印象が大きく変わります。
床柱は、床の間をきれいに見せて、味わいを深める役割があります。
伝統的な座敷の使い方
座敷はお客さまをもてなす「応接間」であるとともに、「ゲスト用の寝室」としても使われてきました。
座敷を「応接間」として利用する時には、部屋の入口から遠く、床の間に近い席が上座になります。
お客さまや立場の高い人が、床の間を背にして座ります。
そのため、来客は床の間に最も近い席に座ることになります。
伝統的な使い方として、座敷は普段、家具を置きません。
ゲストをもてなす時に座机と座布団を置き、ゲストが寝る時には布団を敷きます。
和室に飾る絵画の選び方。和室に合う絵を知りたい。
それでは、和室の飾る絵画の選び方を見ていきましょう。
和室に絵画を飾る時は、和室のインテリアや雰囲気に合う絵を選ぶことが大切です。
和室に合う絵の選び方をご紹介します。
1. 和室のインテリアに馴染む穏やかな絵を飾る。
和室は大規模なリノベーションをしていない限り、白、茶色の自然素材でできた穏やかな雰囲気のインテリアです。
そのため、和室に飾る絵は穏やかな雰囲気の絵を選ぶとよく似合います。
奇抜なデザインの絵を選んでしまうと、和室のインテリアに馴染みにくい可能性があるので注意しましょう。
2. 季節に合わせた絵を飾る。
春夏秋冬の季節に合わせて和室に絵を飾ると、季節感が感じられるおしゃれで過ごしやすい部屋になりますよ。
たとえば、桜の絵は、春の季節に飾ると、暖かな春の訪れを部屋のなかでも感じられる空間になります。
夏に飾るなら、涼しげなお花を描いた絵もいいですね。
また、秋は、紅葉が描かれた絵画を飾ると、季節を感じられますよ。
冬なら、その時期ならではの雪景色を描いた作品もいいですね。
和室を飾る時には、自然の移ろいを感じられる空間づくりが大切です。
座敷などお客さまが訪れる部屋では、お客さまに季節を感じてもらえる飾り付けをすることが、おもてなしの1つとなってきました。
そのため、季節の花を床の間に生けたり、季節を感じられる「掛け軸」を飾ることで、季節を感じられるインテリアを大切にしてきました。
旧暦を基にして飾る
日本には、伝統的に、月の満ち欠けを元に作られている旧暦(太陰暦)があります。
もともと、農業や座敷の飾りは旧暦に基づいて行ってきました。
伝統的には、春は旧暦の1~3月、夏は4~6月、秋は7~9月、冬は10~12月です。
年によって変わりますが、旧暦は一般的に太陽暦と比べて、約1ヵ月遅い日付になります。
3. 小さめまたは中サイズの絵を選ぶ。
和室に飾るなら、主張が強すぎない、やや控えめな絵が合います。
一般的に、和室はあまり天井が高くないため、小さい絵や中サイズの絵を飾ると、バランスがいいでしょう。
大きな絵を飾りたい場合は、天井の高い洋室に飾りましょう。
4. 床の間には掛け軸が似合う。
床の間には、絵画の掛け軸を飾るとよく似合います。
一般的な大きさの床の間の場合は、縦長の掛け軸を選ぶとバランス良く飾ることができますよ。
油絵などの洋画や額縁を床の間に飾りたい場合には、バランスを見ながら作品を飾るといいでしょう。
5. 日本画を飾る。
和室に飾るなら、日本画がよく合います。
日本画とは、和紙や絹などの上に、胡粉や岩絵具などの絵具で描いた絵画です。
座敷の床の間に、絵の掛け軸を飾ることも多いです。
日本画の細やかな表現は、世界で人気のある日本の文化「漫画」の絵の描き方に通じるものがあります。
浮世絵と漫画を見ると、時代を超えて、日本人の精神や性格が引き継がれていることが分かりますね。
6. 洋画を飾るなら、控えめなデザインの作品を選ぶ。
洋画を飾るなら、控えめなデザインの作品が和室のインテリアによく合います。
和やかな雰囲気の作品を選ぶといいですよ。
下記の記事では、居心地のいい部屋にはすてきな絵がある理由を解説しています。
こちらもぜひご覧ください。
和室の絵画の飾り方~床の間がある場合とない場合
和室の絵を飾る場所はどこがいい?
それでは、和室の絵画の飾り方を具体的に見ていきましょう。
床の間がある座敷と、床の間がない和室では絵を飾る場所が異なります。
それぞれの詳しい飾り方をご紹介します。
床の間がある座敷の絵画の飾り方
和室に床の間がある座敷の場合は、床の間に絵を飾るのがおすすめです。
床の間は、絵の左右に十分な壁の余白ができるように飾った方が、バランスがいいです。
横幅の長い絵を飾りたい時は、床の間以外の壁に掛けましょう。
床の間がない和室の絵画の飾り方
床の間がない和室の場合は、壁や長押などに絵を飾るといいでしょう。
それでは、和室の絵を飾る場所ごとの飾り方を詳しく見ていきましょう。
和室の床の間の掛け軸の飾り方
伝統的な和室、座敷では、床の間に掛け軸を掛けたり、花を生けることで、季節感を表現し、お客さまをおもてなしします。
飾りすぎないこと、控えめであること、「余白」を意識して飾ることが大切です。
床の間には、「真行草」と呼ばれる格式があります。
本格的な飾り方「真」から崩したスタイル「草」、その中間の「行」と呼ばれる格式に合わせて掛け軸やお花を飾ります。
「真行草」の格式によって、掛け軸や花を飾る器、その敷物などの飾り方のスタイルに違いがあります。
掛け軸とは、和紙や布の上に絵や書を描いた作品です。
通常、1つの床の間に飾る掛け軸は1つです。
床の間に掛け軸を飾る時は、掛け軸の周囲の壁に十分な余白が空く大きさのものを選びましょう。
和室はシンプルな空間にして、控えめな飾り方をするとキレイに見えますよ。
座敷では、床に座るスタイルのため、座った時の低い目線に合わせて掛け軸を飾ります。
座った時にもきれいに見えるように絵や書を床の間の壁に掛けて、花、飾り物を低い位置に置くとバランスがいいでしょう。
床の間は畳の床から一段上がっている板の間ですが、その高さは約0~20cmと低いです。
そのため、床の間の上にお花や飾りなどを置くと、床に座っている時に眺めやすい高さに飾ることができます。
和室の床の間に絵画や額縁を飾ることはできる?
和室の床の間に絵画や額縁を飾ることはできますが、床の間の壁の広さや形に合う大きさの作品を選ぶことが大切です。
部屋全体のインテリアのバランスを見ながら絵を飾りましょう。
床の間に絵画や額縁に入った絵を飾るなら、やや小さめのものがバランスがいいでしょう。
床の間は、広い壁の空間の美しさを楽しむ場所です。
横幅の長い作品を飾ると、絵画の下側の壁に空白が空きすぎて、バランスが取りにくい可能性があります。
和室の壁に絵画を飾るには?
和室が土壁や漆喰でできた壁の場合は、壁に金具を付けるのは難しいです。
和室の長押(なげし)に額受金具を固定し、廻縁(まわりぶち)に金具を取り付けて、廻縁の金具からワイヤーなどを吊り下げて絵画や額縁を掛けることができます。
長押とは、柱と柱を水平につなぐ部材で、襖などの上に横に付いている板のことです。廻縁とは、天井と壁の接するところに取り付ける部材のことです。
一方、最近の和室の場合には、白いクロス張りのように見える壁は、石膏ボードにビニールクロスを貼ったり塗装した壁であることが多いです。
そのような壁の場合は、ヒートンやS字フックなどの金具を取り付けて、軽い絵画であれば壁に掛けることができます。
ただし、賃貸物件の場合は、壁に穴を開けても問題がないかどうかを事前に確認しましょう。
和室は床に座って過ごすため、床に座った時に眺めやすい高さに絵を掛けることが大切です。
床に座った時の目線よりやや高い位置に絵画を掛けるといいでしょう。
和室の長押に絵画を掛けるには?
長押は、柱と柱を水平につなぐ部材で、襖などの上に横に付いている板です。
長押に絵を掛けると、目線より高い位置に絵を飾ることになります。
和室の畳の上に座った時に絵を見やすいように、やや下側に傾けて飾りましょう。
和室に絵画を飾るコツ
洗練された印象になる「空白」の残し方
和室の飾り方の大きな特徴は、間隔の取り方や空白を残すことを大切にすることです。
素敵なものを厳選していくつか飾って、そのものの周りにある壁や空間の空白とともに作品を楽しむのです。
アートを飾る時には、周りにバランス良く空白を取るようにしましょう。
キレイなバランスで空間が空いていると、部屋全体のバランスがキレイになりますよ。
飾り過ぎない。
和室に絵を飾る時は、部屋の空間に調和することや目立ち過ぎないことも大切です。
そのため、和室のインテリアに馴染むこと、和室の雰囲気やテイスト(正統派か、型を崩した遊びがあるデザインかなど)に合うものを選びましょう。
和の文化では「行間を読む」という言葉がある通り、モノとモノとの間の空白や、モノが醸し出す空気感を大切にしてきました。
そのため、絵画を飾る時は、絵画を飾っている周りの空間を含めて意識することが大切です。
「引き算の美学」のように、飾り過ぎないことで和室が素敵なインテリアになりますよ。
和室に絵と一緒に飾りたい生け花
和室を飾るなら、絵と一緒に生花を飾るのもおすすめですよ。
花を生けるときは、季節感を意識して飾りましょう。
「和」の雰囲気を大切にして絵画を飾ると、和室がすっきりとおしゃれになりますよ。
和室にすてきな絵画を飾って、ほっこりとした雰囲気の和のお部屋で過ごしたいですね。
下記の記事では、人が描く絵画の価値についてご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。